お前は何ば目指しよっとか◆熊本荒尾玉名大牟田の自転車好きと楽しむ、リーフの自転車回想録

ロードバイク・バッソ リーフを駆って自転車のあれこれに勤しむ、ゆかいなチャリバカ達(笑)との自転車回想録です。

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SR600Fujiに挑戦。朝のビーナスラインと最後の2000m級。

午前4時まであと10分ほど。
振り返って東の方角を見ると、遠く山々の稜線がぼんやりと見てとれる。
空はいつの間にか深い群青色へと変化しようとしていたが、上へ上へと延びる目の前の道は漆黒の闇の中へと消えている。

いよいよ後半の山登りの始まりだ。
SR600fuji5.jpg

上田から武石まで標高差600mを上り既に標高1000mを超えてはいるが、ここから間髪入れず更に標高1900m付近の美ヶ原まで上る。
上り始めはキャンプサイトらしき場所を周囲に見ながら通り抜けて、そのあとはつづら折れの区間へ。
弱りかけのGENTOS閃2本で自分の足元を照らし、ヘッドライトのスポット光で周囲や先を照らす。

カサカサ…ガサゴソ… パキッ!ササッ…

左右の木々や草むらの奥から”何かが”枝や落ち葉を踏み進む気配を感じる。

こんな雰囲気は3年前に真夜中の二本杉峠を上ったとき以来か…
過去レポ→落武者とランデブー!?「ミッドナイト★二本杉峠」で人吉へ

あの時は落武者の住まう道に相応しくとても蒸し暑い夜だったが、今日のこの場所は気温が10℃を下回り空気もヒンヤリ乾いており、止まると肌寒く感じるが上っている間はちょうど良く思える。
周囲は高い木々に覆われて眺望は期待出来ない。ただ目の前の上り坂に抗いながら流れ作業の様に黙々とペダルを回し続ける。
時折サイコンの距離計を読むが、感じた経過時間の割に距離が進んでいない事に気持ちが萎えそうだ。


今日という日はまだ始まったばかりだというのに、もう脚が売り切れてそうな気がする。
上りの負荷やそれに伴う運動強度に身体がついて行けない感じがして、身体にキレが無く昨日の様には上れない。
上田のホテルではそれなりの回復を期待していたのだが、思った以上に疲れは残っているのかもしれない。

先の見えない深いブラインドコーナー、ダラダラと続く急勾配、高低差のあるヘアピンカーブ。
RIMG5947.jpg

次々と現れるコーナーと、それらを抜けても上へと延び続ける終わりの見えない坂道。
途中で足を着き、手短にエナジージェルを補給したら、また上る。
唯一ホッと出来たのは夜が終わるということ。
もう日の出も近くライトも必要ないほど徐々に明るくなってきた。

途中手の届きそうな場所に沢が流れていたので、手に取って顔を洗う。
RIMG5948.jpg
水は雪解けの様にとても冷たく、かなりのリフレッシュになった。

再び上り始めて現れた次の右コーナー。これまでそうして来たようにあまり先へと視線を送らずに黙々と上る。
そしてコーナーの出口でふと顔を上げると…

こんな奴がジッとして立っていた(驚)
580x580.jpg

デカっ!!っとこちらが声を上げる前に、その鹿は背後の林の中へと駆けていった。
あんな立派な野生のシカ野郎は初めて見ました。目の前までその存在に全然気付かなかったので正直言って怖かったです。

気を取り直して上り続けていると、やがて林の向こうから眩いばかりの朝陽が差し込んできた。
RIMG5951.jpg

そして頭上は明るく拓けて、白樺林の中の一本道へ。
RIMG5953.jpg

やがて頂上が近いのか保養所や別荘と思しき建物が現れるが、その中には宮田工業が保有する高原保養所もあった。

最後のつづら折れの登坂をこなすと、残雪の残る高原と太陽を取り囲む虹が一緒になって目に飛び込んで来た。
RIMG5959.jpg

5:45 PC7 道の駅 美ヶ原高原美術館 332.4km 標高1940m

こうして美ヶ原で朝を迎えられた。
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本来であればここには深夜を通じて上り続け、午前3時半に登頂する予定だった。

だがお陰でこの素晴らしい絶景に出会え、高原の朝の凛とした空気が味わえた。
IMG_1840.jpg

自分以外の生き物の姿も気配も皆無。

冷たい風が吹き抜けるこの場所から、しばらく見える風景全てを独り占めした。
IMG_1842.jpg

証明用の写真を撮り終えて、補給食のロールパンを噛じりながらこの先の天気とコースプロフィールを確認。
この日は夕方もしくは夜から雨の予報。予定通りに行けば山中湖の最終PCからゴールまでが雨となるだろう。

美ヶ原高原美術館の屋外展示物(オブジェ)を周囲に見て、振り返れば遠く雪化粧の残る立山連峰が薄らと望む。
RIMG5964.jpg
そして3kmほどのダウンヒル区間へ。深い谷にへばり付くかの様に架けられた橋が下に向かって幾重にも折り重なり続いている。それは圧巻の眺めだった。

…が、何だか急に眠たくなってきた。

ヘアピンが続く急勾配の下り坂。意識が吹っ飛びブレーキを掛け損ねれば、欄干を飛び越え谷底へ真っ逆さまだ。
短い間に何度かウトウトしかけて、下りの途中で右折するポイントで自転車と止めた。
その場に座り込んで転落防止用のワイヤー柵にもたれて15分ほど寝る。
私のブルベでは毎度の事だが早朝の時間帯に一度だけすごく眠たくなる事が多い。
これを過ぎればこの日はまた夜になるまで眠くなる事はあまり無い。

下りはここで一旦終わり、再び上りへ。
RIMG5967.jpg

美ヶ原からはこの様に上り返しを何度も繰り返して、これからしばらく1000m超の山岳高原ルートを延々120km走り続ける。
ここは下りで脚を休ませつつ、次々と現れる上りと上手に付き合いって行きたいところ。

気温も少しずつ上がり暑くなってきたので、途中の扉峠の手前で冬用グローブやシューズカバーを脱ぐ。
ついでに厚手のインナーとウインドブレークタイツも脱ぎ、代わりにレッグウォーマーを履いて軽装に。

扉峠のドライブインは早朝なのでまだ開いておらず通過。
さらにその先の三峰大展望台のドライブインも開いていなかった。
昼間であればこのような場所でも何か食べ物が手に入ると思うが、こうして早朝や夜間の通過を考えていたらある程度の補給食は携行しておきたい。

比較的長い下りが続いたあとで、途中の和田峠を通過。

いま走っているビーナスラインは和田峠の切通しの上に掛かる峠橋を渡るが、ちょうどそこから旧道の和田峠トンネルの抗口が見えた。
RIMG5971.jpg
旧道は中山道の一部であり、トンネルは昭和初期に作られ「近代土木遺産」にもなっている。
トンネル内は幅員と高さ共に狭いため信号機で交互通行としているが、現在は有料の新和田峠トンネルがあるので車両のほとんどはそっちを行くものの、旧道はこの峠でビーナスラインとも交わっているため交通の接点という役割が今もあるようだ。

気温も上がって高原の風は心地よく、新緑や雲の上に突き出た遠くの山々の眺めは素晴らしい。
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美ヶ原を走り出して、かれこれ1時間半も下ったり上ったりして走り続けている。
何だか炭酸飲料が飲みたくなって、そろそろ休憩がしたいなと考えていた頃、ルート上にあった八島ビジターセンターという所に立ち寄った。
徒歩圏内に国の天然記念物や文化財にも指定されている八島ヶ原湿原があり、ここを散策したり周辺の山々を登山する人達の拠点とする場所のようだ。
建物は早朝で閉館してたが自販機が屋外にあり買うことが出来た。公衆トイレも併設してある。
ベンチに座って潰れた状態で残ったロールパンを食べる。一緒に飲んだコーラが身体に染みてとても旨かった。
椅子に座ってゆっくりと休憩するのだってどれくらい振りだろうか。

再び走り出して相変わらず幾つかのアップダウンをこなすと、霧ヶ峰高原の碑が立つK40との交差点。
RIMG5975.jpg

このあたりまで来ると八ヶ岳連峰の姿が見え始める
RIMG5977.jpg
このあと向かう後半における最高地点にして最後の2000m級峠が待つ麦草峠はこの八ヶ岳連峰の北側に位置する。

車山高原を回り込む様に一旦ピークまで上り詰めると、そこから白樺湖まで気持ちのいいダウンヒルが続く。
RIMG5980.jpg

9:20 ローソン白樺湖蓼科店

信州味噌ラーメン タラコおにぎり レッドブル 眠気覚まし用のガム

実に70kmぶりのコンビニ。ここは日本で一番標高の高い場所にあるコンビニで、営業時間は7時~21時なので注意。

事前のリサーチの通り、袋に入った菓子パンなどの商品やカップラーメンはどれもはち切れんばかりにパンパンに膨らんでいた。
密閉性の高い商品は高い標高と気圧の関係でどれもこの様に膨らんでしまう様だ。(きちんと密閉されている証明とも云える)

この時間になると気温も20℃近くまで上昇し、日差しが強くかなり暑いので一気に夏の格好にチェンジ。
冬用のウエアは全てリアバッグの中へ戻したので、再び最大積載量までパンパンに。
これから2000m級の峠に上るというのに…前日の渋峠アタックと同じことになりそうw

コンビニをリスタートしたら短いながらもいきなりの激坂。このSR600Fijiで最強の激坂かもw
ただこれよりももっとパンチの効いた坂がこのあと待っていた。
距離にして1kmか2kmか続く、真っ直ぐに延びた直登の坂。ジリジリと照りつける日差しを遮るモノも無く、ローギアで追い越して行った車が遠く坂の上で陽炎のようにいつまでも消えないでいる。
こんな坂道があるなんて聞いてないよ~。全く頭に無かっただけにかなり凹んだ気持ちのままピークへ。
坂もキツかったけど、日差しの強さと路面からの照り返しが暑くのも辛かった。

ピークと思っていたそこは、実はただ勾配が緩くなっただけで相変わらず地味に上っている。
直登が終わて大きく左に弧を描きながら上ると、続けて同じように右に。
すると先ほど自分が上って来た直登の道が、視界の下にスーッと1本見えた。

ようやく本当のピークが現れて、道路脇には「すずらん峠」と書かれた碑が立っていた。

10:43 PC8 蓼科女の神展望台 378.3km 標高1638m

下りに入って割とすぐに目的の展望台はあった。
RIMG5986.jpg
蓼科高原と遠く芽野の街を見下ろす景色が望める。他に何も無い展望台だったので写真を撮ったらすぐにリスタートした。

ここから一旦標高差300m程をダウンヒル。
周囲は静かな高原の別荘地で、木漏れ日の射す白樺林の一本道を気持ちよく下って行く。
ついでにここで今回のSR600Fujiで最速の71.4km/hを出す。

下りはここで終わって左折したらメルヘン街道と名づけられたR292、そして2000m超の麦草峠へと繋がっている。
RIMG5987.jpg

ボトルの中身があと3分の1ほどになっていたので、目の前に見えるレストラン?を覗いてみたら自販機とかは無し。
とりあえずR292と合流したところにも何かの施設があり自販機が無いか探したが見つからず。(帰って確認したら別荘の管理事務所でした)
峠までまだ1時間半~2時間はかかりそうだったが、我慢して峠まで行けば自販機と店がある。
少し不安になりながらもとりあえず先を急ぐべく上る事にした。

幸い勾配は急ではなく、一定の斜度が淡々と続いていく。
RIMG5989.jpg
沿道にはずっとこんな感じで別荘が建ち並び、ボトル中身が尽きかけている今、誰かいたら水道の水でも分けて貰おうかとも考えていたが人影すら見つけられず。

同じ2000m級の渋峠でもそうだったが、高地だと空気が澄んでいるので塵や埃の影響を受けないまま紫外線を直接受けてしまうのだそう。
その紫外線の強さは標高1000mの場所だと地上の10%増だと言われる。併せて空気も比較的乾いているので、1000mを超えた場所で受ける日差しはジリジリと痛いほど感じる。
なので気温は20℃前後と過ごしやすくても、この強い日差しのせいでとても暑い。

乾いた口を湿らす程度にチビチビと飲んで何とか持たせて来たが、峠までまだ標高300mを残してとうとう底を突いてしまった。

12:20 茅野市千駄刈自然学校

上りながら見覚えのあるソフトクリームのオブジェが視界に入る。
RIMG5991.jpg

キャンプ場らしい施設だが表から見る限り自販機は見当たらず…でも車が止まっているので誰かいるかも。ソフトクリームがあるなら建物内で飲み物が手に入るかもしれない。
自転車を押し歩いて建物の前へ。中を尋ねると男性が一人居られて「水かお茶を売ってませんか?」と聞くと「ありますよ」とウッドデッキに置かれた冷蔵庫の鍵を開けてくれた。

助かったー!!

結局ポカリスエットとお茶を買ってポカリはその場で飲み干し、ボトルはお茶で満たした。

偶然立ち寄ったこの場所は 茅野市千駄刈自然学校 という公共の施設だった。
RIMG5990.jpg
学校の野外活動やアウトドアスポーツをここで体験したり学んだり出来る。

休憩を兼ねて少しばかり施設の方と話すると、ご自身もMTBで界隈を散策したり、蓼科や麦草峠にはプロや実業団選手もトレーニングによく来ているらしい。

感謝とお礼を伝えてリスタートすると、あとはただテッペンを目指すだけだ。

13:15 PC9 メルヘン街道最高地点(麦草峠)400.4km 標高2127m
RIMG5993.jpg

渋峠や菅平、美ヶ原に麦草峠と標高差が1000mにもなる上りを何度もリピートしていたら、ここで一つの法則を発見した。
それは標高差100mに要する走行時間が10分だということ。まーこれは今の私のポテンシャルでしか測れない法則なのだが(笑)
そんな訳で先ほどの補給地点から標高差300mを30分掛けて上って麦草峠に登頂。上り始めてからトータル2時間を要した。

大きな上りはこれが最後。あとのピークは標高差が500mとか700mとか。

ハハハ!残る上りなんて、今までの峠と比べたら雑魚みたいなもんだぜ!ガハハ(笑)

次の標高1300m付近にあるJR鉄道最高地点のPC10が36km先にあり、そこを最後に標高1000mを超える上りはもう現れない。
PC10を過ぎれば富士吉田市まで一気に下ってその先にPC11、そしてさらに50kmかけてジワジワと上り詰めた場所に最終PCの山中湖がある。
その山中湖では富士山をバックに通過証明の写真を撮りたい。もちろん私自身もこの目で山中湖からの富士山が見たい。

今回のSR600Fujiを走るにあたってある程度アタマに叩き込んでいるのは、今ここにいる後半の最高地点である麦草峠まで。
ここから先ゴールまではPCの場所と”あとは大体こんな感じ”くらいしかリサーチしていない。
コースプロフィールを見る限り、やはり攻略の鍵は前半の渋峠と上田の到着時間。そして後半の美ヶ原~麦草峠に絞られるのは誰の目から見ても当然の答えだと…。

…この時まではそう思っていた。

ゴールまで残り200kmとなったこともあり、少しだけ完走の二文字が頭に浮かぶ。

これまで幾つもの長い長い坂道を上ってきたし、長くて苦しい時間を過ごして、やっとここまで辿り着くことが出来た。

疲労と苦痛、時間と焦り、そして再び訪れた長い夜。

ここからまた別の長くて苦しい200kmになろうとは、今は知る由もなかった。

| ブルベ教のススメ | 09:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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