お前は何ば目指しよっとか◆熊本荒尾玉名大牟田の自転車好きと楽しむ、リーフの自転車回想録

ロードバイク・バッソ リーフを駆って自転車のあれこれに勤しむ、ゆかいなチャリバカ達(笑)との自転車回想録です。

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俺のSR600日本アルプス・4日目 大鹿村~下呂

脚を休めたその場所は轟々と流れる沢の音と己の息遣い、そしてライトだけで闇夜を浮かび上がらせる限られた世界。
その世界から視界を外せば、あるのは漆黒の空間ばかりで何も見通すことは出来ないし、だからと言って何かを見たいとも思わない。
今は僕ら人間が支配している時ではない。
この時間この場所において、これだけは断言できる。

ふと夜空を見上げると無数の星が明るく瞬いている。
この目で見たもの全てがちゃんと伝わる最良の言葉があれば教えて欲しい。
夜空いっぱいに広がるその瞬きを見ていると、今いる世界が決して限られたものではないことを示してくれる気がした。

道は星に聞け。

90年代の初めに流れていた、あるCMのフレーズを思い出す。
まるで星座図のような星空を眺めていたら本当に聞けそうな気さえしてきた。

最後となるであろう夜間走行が、こんな素敵な夜空の下で本当に良かったと思う。

↓今回登場するルート(画像クリックで拡大)
day4map.jpg


そんな満天の星空の下、GPSが差し示すトラックラインを頼りに走り出せば、まさに“サテライトクルージング”と呼ぶに相応しい。
だが6~10km/hあたりを息も絶え絶え“流す”その姿は、クルージングと呼ぶには程遠く不格好だったに違いない。
もちろんシュッと走れる力が僕にあるはずなんてないのだから。

予定通りに日付が変わった深夜2時に大鹿村の東屋をリスタートして、もう1時間以上が経過している。
そのあいだ延々と終わることなく道は上り続けているが、ただ長いというだけで考えていたよりも緩やかな上り坂が多く、クルージングという言葉に肖れば、幸いにしてなんとかここまで“流す”ことが出来ている。

左の土手下にある陶芸の窯元やキャンプ場らしき場所を通過したあたりから道幅がさらに狭くなって、国道とはいえその様相は酷道と呼ぶに相応しくなる。
その先では過去に斜面が崩落したのか、それを避けるように迂回している道の周囲が広く取られている場所があって、そこで少し脚を休めて一口羊羹を食べた。

大鹿村をリスタートしてちょうど10km。
DSCF9318.jpg
沢に沿って上り続けていると中央構造線の露頭を示す案内板があるところで再び脚を休め、そこで見た頭上で煌く星空と自分が置かれた漆黒の世界との対比がとても印象深かった。

ちなみにここ「安康露頭」ではこの様な形で中央構造線を確認する事ができる。
安康露頭
↓リンク先をクリックするとGoogleストリートビューでより詳しく見ることが出来ます。
https://goo.gl/maps/8Ma6zDELqEC2

露頭の案内板を過ぎた先から沢沿いの道ではなく、斜面を這うようにつづら折れの道に変わった。
それまであまり意識していなかったローギアの出番が増え、落差のあるヘアピンを次々とクリアしても、光が届かぬ暗闇の中に上へ上へと伸びる坂道が現れるたびに悪態をつく。
気持ちを切り替ようと、カフェインが200mgも入った梅丹CCC200をここで投入。
周囲の評判も良く、ここぞという時に使おうと1つだけ持っておいたものだ。

9/4 4:04 R152地蔵峠(標高1314m)418.9km地点
DSCF9319.jpg

つづら折れの区間を過ぎと辺りを取り囲む木々も少なくなって、やがて峠が近いことを知る。
そして緩やかなカーブの先に、ヘッドライトで浮かび上がった峠を示す標識を見つけた。
一口羊羹を食べて写真を撮ったらすぐに走り出す。

国道152号は地蔵峠で途切れて、ここからは蛇洞林道が始まる。
しばらく進むと9月に入ってすぐに始まったという法面工事区間があった。
ここは位山峠と同じく平日の日中は全面通行止めだが夜間と土日祝日は通行可能で、出発の1週間前にハイランドしらびぞのHPで予告されていたのを偶然見て知った。
未舗装路の区間に差し掛かる手前で後方からエンジン音が聞こえて乗用車にパスされる。
大鹿村を出て初めて車と遭遇したが、この時間こんな場所を自転車が上っていて向こうもさぞびっくりしただろうと思う。

工事区間の先から少しばかり下り、途中現れた二叉の道を「しらびぞ」と指し示す方へ、南アルプスエコーラインと呼ばれる林道を7kmほど上り返す。
ちょうどこのあたりから夜空は白み始め、遠くの山々の稜線が見て取れる様になる。
DSCF9320.jpg
このペースだとうまく行けば峠で日の出が拝めるかもしれない。
当初の目標が達成できるかもしれない喜びと、もうすぐ夜が明ける安堵感からペダルを回す脚が不思議と軽快に感じられた。

そこ数十分の間にみるみる空は明るくなって視界の開けた場所からは、西の方向に標高1800m前後の山々が連なる伊那山脈を目線と同じ高さで望めた。
DSCF9321.jpg

長い夜を制し迎えた朝陽に映し出された素晴らしい景色に、この時間この場所で偶然たどり着いた者だけが出会えるというのがブルベの魅力の1つであり、“ブルベはランドネ”なんだと思える瞬間でもある。
これはここまで頑張った者がブルベの神様が与える贈り物みたいなもの。
そしてこの先にもあるであろう“何か”に思いを馳せながらランドヌールはゴールを目指して、またこれを繰り返してゆくのだと思う。

9/4 5:38 PCしらびぞ峠(標高1833m)430.3km地点

振り返れば細くウネウネと伸びるガードレールがあって、ここまで自分が上ってきた道のりを見ることが出来る。
峠の位置を示す残距離もいよいよ数百mとなり、GPSから近接アラームが鳴る。
最後はダンシングとシッティングを織り交ぜながら登頂した。
DSCF9324.jpg

目の前には南アルプスの山々が間近に迫り、視界にその全てが収まりきれないほど。
DSCF9325.jpg
昇って来る朝日と共に、湧き上がる雲が尾根の反対側から流れ込むのが見えて、雄大な自然とそのスケールを感じた。

着いた時に朝日はギリギリまだ見られなかったが、少し待つと南アルプスの稜線から日の出を拝むことが出来た。
DSCF9326.jpg
こうしてしらびそ峠で夜明けを迎え、一度は諦めた当初のスケジュールも一旦ここで挽回したことになる。
また結果的にはこのあと迎える下栗の里~遠山郷に至る長いダウンヒルも、明るい時間に通過出来る事は危険回避という点で何よりも喜ばしいことだ。

峠を後にしてその先の短い激坂を上りきるとあるのがハイランドしらびぞの施設。
エントランス横の自販機でホットの缶コーヒーを買い、目の前に広がる南アルプスを眺めながら凛として冷たい空気の中で飲むモーニングコーヒーは、それが缶コーヒーであっても最高に旨かった。

ホテルのある場所は峠よりさらに高く標高1933mあって、この背景もPC通過の証明写真とすることが出来る。
DSCF9327.jpg

ウインドブレーカーを羽織っていよいよ長いダウンヒルへ。
それまで地道に稼いできた標高という名の貯金をこれでもかと使い倒す。
だが細くクネクネとして先も見通せないので、落石や小動物に注意しながらだと貯金を取り崩して行くのも容易ではない。

途中、ここが隕石のクレーターだとする案内板を発見。
DSCF9328.jpg
科学的な研究がなされていて、国際的にも認められた隕石クレーターだそうです。

ようやく標高1000m付近まで降りてきたところで、余裕があれば是非見てみたいと思っていた「下栗の里」を一望できる展望台に立ち寄る。
DSCF9334.jpg
入口の遊歩道脇にバイクを停めて、ここからは片道20分ほどかけて展望台まで歩く。

この遊歩道は地元の方たちが手作りで道を開き整備したのだという。
DSCF9329.jpg
斜面に沿って上り下りしたり、急斜面の崖の上を人一人が歩けるような場所を通ったりとちょっとした登山だ。
あわよくば乗鞍から剣ヶ峰まで登山するかも?なんてつもりで今回はMTB用のSPDシューズを履いてきたが、ここに来てようやく陽の目を見た感じだ。

そしてビューポイントと示された展望台に到着。
DSCF9330.jpg
定員40人とあえて指定されたところに苦労と手作り感を覚える。

そして地元の方たちが見せたかった景色。
DSCF9332.jpg

別名「日本のチロル」「天空の里」とも呼ばれ、標高800~1000mの急斜面に這うように民家が立ち並んでいる。
そもそも下栗の里をはじめとする遠山郷は南アルプスと伊那山脈に挟まれた深い谷間にあり、冬場は長野県内の中でも豪雪地帯として知られている。
そんな秘境とも呼べる山奥に、人の息遣いと営みが行われているということに驚きを感じる。

再び20分かけてバイクまで戻り、展望台から見た下栗の里へと下っていく。
車1台が通れる程の細いつづら折れの道が急斜面の土地を這うようにように通され、まるで斜面を縫うように下っていった。

そんな道に沿う形で民家もまた急斜面に立ち、わずかに開けた土地に田畑が耕されている。
DSCF9335.jpg

こうして見るといかにこの場所が山深い所にあるかが分かる。
DSCF9336.jpg

途中下栗の里に立ち寄るなどしたものの、しらびぞ峠から下り続けてようやく国道まで降りたのは午前8時ごろ。
広くて綺麗な道を走るのはとても久しぶりな事のように思える。
国道は深い谷間を通っているのでこの時間は山陰が覆っていて肌寒い。
遠山郷にある道の駅に立ち寄り、朝食代わりの携行食を食べながら小休憩。
日曜日だったこの日、地区総出で地震を想定した避難訓練が行われていて、道の駅に住民が徒歩で沢山集まっていた。

最終日の今日も好天で日中は相変わらず35℃を超える猛暑の予報らしい。
陽は随分高く昇り、気温もすでに30℃に迫ろうとしていて既に暑い。
毎度のことだが、つい数時間前まで居た高原のヒンヤリした空気が恋しい…。

川沿いの道は車もほとんど通らず、下り基調でもあるので快調に進む。
DSCF9337.jpg

天龍村まで南下すると、今度は天竜川沿いの県道を阿南町へと向かう。
DSCF9341.jpg
流域は急峻な地形で流れもまるで蛇か龍のごとく大きく蛇行しているのが特徴的。
対岸にはJR飯田線が走り、背景の山々と川沿いの風景がローカルな旅情を醸し出している。

9/4 9:44 PC阿南町役場(標高508m)483.1km地点

DSCF9342.jpg

川沿いの県道から外れて、いきなり10%を超えようかという激坂を2kmも上らされる。
気温は30℃を優に超え、日陰が全く無くてとにかく暑かった。
そんな坂の途中にPCの阿南町役場はあった。

先人の経験談によると“この場はさっさとリスタートした方が幸せ”なのだという。
それもそのはずこの先の国道沿いに110kmぶりのコンビニがあるからだ。
国道は町の高台に通されていて、とりあえず役場前の坂を国道まで上り、さらに町を跨ぐように架けられた国道の橋を上る。
ようやく坂が緩やかになったところで目標としてたコンビニ(サークルK)があった。

僕の場合だと最後に利用した高遠のセブンイレブンから110kmぶり、オンコース上で言えば茅野のセブンイレブンを最後に140kmぶりのコンビニ。
SR600日本アルプス最大のコンビニ不毛地帯だ。
ようやくまとな食事にありつけたのでまずはガッツリ補給を摂って、毎度お馴染みロックアイスをボトルに投入。
妻への定時連絡を行い、トータル30分ほどの小休憩でリスタートする。

遠州街道とも呼ばれる国道151号線を飯田市へ。
右方向の少し離れた所を天竜川が並行して流れている。
ちょうどここは南アルプスと中央アルプスに挟まれた“伊那谷”と呼ばれる盆地。
日陰の少ない見通しのいい道を幾つものアップダウンを繰り返しながら進む。
正直あまりツマらない区間だったので、何も考えず淡々と走っていた気がする。

9/4 11:50 PC飯田駅(標高505m)512.1km地点

飯田市内に入りこれまた久しぶりに思えた市街地走行。
中央アルプスの裾野に広がる町で目的の駅は山に向かって高台に位置している。
駅に通じるメインストリートは坂道に沿って飲食店が立ち並ぶ。

写真だけを撮ってすぐにリスタート。
DSCF9345.jpg

ルートは飯田駅の反対側へと回り込み、お昼時で混み合う途中のコンビニでパンを食べ、暑さで消耗の激しい水と氷を補充する。
ここからはいよいよ最後のビッグクライム、中央アルプスの南側を越える飯田峠と大平峠のダブルボスが待ち構える。
全体的な平均勾配は5%以下と決して急勾配ではないが、最後のピークである大平峠までは飯田から24kmもあって我慢の登坂となりそうだ。

気温は35℃を超える炎天下、住宅街をつら抜く県道は日陰が全く無く、身体に掛ける為の氷水が序盤から消耗していく。
平均勾配は然程でも無いとはいえ、序盤に通過する松川ダムまではそれなりの坂を上らされたものの、ダムを過ぎれば林道のような雰囲気となって木陰の中を少し快適に走れるようになった。
DSCF9347.jpg

ダムを過ぎると少し平坦な区間があって、その先の沢に架かる小さな橋を渡った所から本格的な上りが始まる。
見通しの悪いタイトなコーナーと短い直線で繋いだ様な上り坂で、道沿いには所々に大きさや形も疎らな手彫りの石仏が祀られていたり、幾つか渡る沢にはそれぞれ名前が付けられた木札が立てられていたりと、旅情を感じさせる味のある道でした。

9/4 14:05 飯田峠(標高1235m)527.6km地点
DSCF9348.jpg

ここから2kmほど下ると大平街道の宿場だった大平宿がある。
DSCF9349.jpg
昔はここに集落があったがその後廃村となったものの、地元の人達で保存がなされ田舎体験を通じてここに宿泊も出来るとのこと。

大平宿を通過して木漏れ日の差す渓流沿いの緩やかな坂道を上りきると、長かったピークまでの道のりもその終が見えてきた。

9/4 14:37 PC大平峠(標高1358m)533.6km地点
DSCF9354.jpg

大平峠は別名で木曽峠とも呼ばれていて、標識の傍らにこの様な木札が立てられている。
DSCF9350.jpg
もちろんこの木札を背景にした証明写真でもよい。

この街道を旅したサイクリストの紀行文や自転車を題材にした書籍に必ずと言っていいほど登場し、静かな切通しの峠に佇む雪除けのトンネル。
DSCF9355.jpg
DSCF9356.jpg
苔むしたその見た目はこの街道と峠の雰囲気に自然と溶け込んでいて、伊那谷と木曽谷を結び、ここを行き交う旅人の情景が浮かんでくるかのようだ。

トンネルを抜けて7kmほど下ると国道256号線に合流。
国道に出たところでGPSのローバッテリーサインが出たので、脇道にエスケープしてこの先も出番がないであろうヘッドランプからアルカリ電池2本を抜き出し、GPSの電池と入れ替えた。
そこからさらに観光客で賑わう妻籠宿まで10kmの道のりを一気に下り続ける。

妻籠に差し掛かる頃には頭上に灰色の雲が低く垂れ込め、背後の山沿いを見ると真っ黒な雲の塊が浮かんでいる。
国道19号線と合流する交差点で信号待ちをしていたら、とうとう雨がポツポツと降り出してきた。
スタートからここまで初めての雨である。
木曽川に沿ってR19を中津川方面へ。
その頃には大粒の雨がバラバラと身体に叩きつけていたが、その降り方は弱々しくにわか雨か通り雨といった様相。
空を見ると頭上には黒い雲が浮かんでいるものの、下呂がある遠くの方角は所々雲が切れて今は青空も見えている。

飯田を出てから休憩らしい休憩を入れずに走っていたので、雨雲の様子を見るついでに道の駅賤母(しずも)で小休憩のため立ち寄る。
妻籠宿帰りの車が吸い込まれるように入ってくるようで、駐車場も施設内もエラく混み合っていた。
軒先のベンチに腰掛け最後まで取っておいたエナジーバーをかじりながら、まずはゴール後に投宿する下呂温泉の宿に電話入れてだいたいの到着時間を連絡。
続いて雨雲レーダーでチェックすると予想を見ている限りでは、ギリギリ降られるか降られないか、雨雲に追われながら走ることになりそうな感じに思えた。

道の駅から下呂まではちょうど50km、この旅も残るところあと50kmで終わる。
本来であればのんびり流すようにゴールを目指してウイニングランとでも行きたいところだが、出来れば本降りの雨に降られたくない思いからそんな悠長な事は言っていられなくなった。
むしろこのラスト50kmが今回の日本アルプスの中で一番頑張った区間だった様にも思える。

一段と夕方の交通量が増えたR19から離れて坂下の町を進む。
あっという間に中心部を通り過ぎて、田畑が広がる長閑な風景へと変わった。
この時間になって少し風も出ていたが、どうやら向かい風っぽい。
頑張って急いでいる時に限って、しかも最後に向かい風は嫌だな…

山越えのルートで下呂へと続く国道へと合流。
ここから下呂までの間に大きく3つのピークがあるのを、スタート前のコース確認で見たことを思い出す。
今日も結構なくらい脚を使い切っているので、ここに来て地味に長い上りが身体に堪える。
雨から逃れたい一心でちょっとした気持ちの焦りもあり、頑張り過ぎて踏み込むもんだから、ここまで一切無かった脹脛の痙攣が起き始めた。

1つ目のピークを越えて下りに入るとミストのような雨が降ってきた。
するとやがて路面だけがビショビショのウエット状態になり、ついさっきまで通り雨でも降っていた様子だった。

2つ目のアプローチを前に最後のエナジージェルと梅丹2RUNを投入。
DSCF9357.jpg
上り始める頃には路面はウエットからドライへ、そして下呂の2文字が標識に現れた。

2つ目のピークはトンネルで越えて、下りきったらすぐに3つ目に向かって上り返す。
DSCF9358.jpg
下呂まであと22km!

再びミスト状の雨が降ってきたが長くは続かなかった。
いつの間にか痙攣は収まっていたがカチカチに張っているような違和感は続いている。
変な動きをしたりこれ以上の負荷を掛けようものならまた痙攣しそうな感じだ。
だがもうそんなには踏めない。
何とか現状維持で続けられそうなペースを探りつつ、自分の脳と身体を騙しながら、ひと踏みひと踏みペダルを回していくこと、これで精一杯だ。

9/4 17:48 舞台峠(標高690m)591.6km地点

DSCF9360.jpg

息も絶え絶え、本当にこれが最後の峠であり最後の坂道を上りきる。
もうバックショットでキメる余裕なんてない。
もう上れない、僕自身の能力の限界でもあった様にも思う。

今にも降り出しそうな日没間際の空を伺いながら下呂へと急ぐ。
路面にはグルービングが刻まれていたので溝にすくわれない様に注意を払いながらも大胆に下る。

飛騨川に出て川沿いの国道を進むと下呂市街の標識が見えた。
DSCF9361.jpg

9/4 18:18 ゴールJR下呂駅 605.4km完走

やがて川沿いに立ち並ぶ温泉宿の街明かりが見えてくる。
DSCF9362.jpg
3日前に見た見覚えある風景を見つけ、やっと帰ってきたことを実感する。

何とか最後まで本降りの雨からは逃げ切ることが出来たらしい。
ライトを点灯し流すように走る薄暮の温泉街は、ようやくここで本当のウイニングランとなった。

温泉宿の泊り客が丹前姿で行き交う橋を渡り、
DSCF9363.jpg

駅前のガード下を過ぎれば…
DSCF9368.jpg

4日目にしてついにゴール!実に74時間42分ぶりの下呂駅。
DSCF9365.jpg

最後は途中少しばかり雨に降られたものの、それを除けば連日好天に恵まれたブルベとなった今回のSR600日本アルプス。
初めての乗鞍は快晴で最高の思い出になったし、いろいろあったけど結果的に通過したPCの通過証明写真は全て明るい時間にその記録を残せたし、その全貌をこの目でもしっかりと焼き付けることが出来た。
落車を始めとした怪我もしなかったし、パンクなどのバイクトラブルが一切無かったこという事実は、ブルベに限らず遠征サイクリングにおいて特筆すべきトピックだと思う。
妻帯者としては1度の事故やドラブルで家族に心配を掛けようものなら「もう次は行ってくれるな」という事にも成りかねない、極めて重要なテーマだ。

僕がこうして完走することが出来たのも、日時とスタート地点が自由に選択できるツーリスト部門だったからに他ならない。
もちろんルートの学習や研究、事前の走行計画も完走への道のりには不可欠だ。
ただそれ以上に重要なことが、乗鞍スカイラインを通行するのに必要な“運”が今回の僕にはあったということ。
さらにチャレンジ中は連日天気に恵まれたことも大きな要素で、これはノートラブルで完走出来るかどうかにも関係する。
もしまた日本アルプスをチャレンジする事があれば、そのような運も次は無いかもしれない。
乗鞍スカイラインのゲートで自然を相手に足止めを食らい、泣く泣くDNFした日本アルプスの話なら完走した話以上にネットで見つけることが出来る。
僕はどんなルートでもどんなシーンでも厳しくないブルベなんて無いと考えているが、そんなブルベの厳しさ以上に完走を果たす為の条件があって、そのことが日本アルプスで認定を取ることを難しさを物語っている。
なので僕はランドヌール部門でチャレンジする全てのランドヌールを尊敬しています。

その事を踏まえた上で、SR600日本アルプスの完走はツーリスト部門であっても僕には特別です。
そしていつかランドヌール部門でチャレンジできる日か来ることを楽しみしています。

何はともあれ、最後まで走りきり無事に完走出来たことは素直に嬉しい。
Facebookで沢山のいいね!や激励、応援してくれる友人知人たち、この素晴らしいルートを設定され運営するオダックス埼玉の皆様、何よりいつも黙って送り出してくれる僕の家族。(呆れられてるともいうw)

ありがとうございました!
DSCF9367.jpg

| ブルベ教のススメ | 18:25 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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